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新年早々レターパックで札束送ってすみません。

皆さまからの仕事がなければやっていけない

明けましておめでとうございます。
ない株式会社の岡です。

会社は3期目に入りましたが、経営は全くをもって安定しません。
制作会社は「自分で何かを作って売る」という業態ではないので、基本的には皆さんからお仕事をいただけるかどうかで、その年を生き延びられるかどうかが決まります。

つまり弊社を生かすも殺すも、取引先の皆さま次第。

妻が自営業なのでウチが倒産しても生活が即詰むわけではないのですが、「家事も育児もロクにできないプー太郎」に転落し、夫・父親としての威厳は完全に失われ、数ヶ月で離婚され、淀川の河川敷にマイホームを構えることになるでしょう。

そこで今年は「御社が生命線です」ということを正直に伝え、不憫に思った方から仕事をもらう“同情営業”をコンセプトに年賀状を企画しました。

昨年の取引金額で挑むスゴロク

今回お送りした年賀状は『ない株式会社の経営無理ゲーム』という人生ゲーム風スゴロクです。

人生ゲームと違うのは、ほぼすべてのマスでお金を支払わなければならないところ。
給料日もなければ、臨時収入もほぼありません。進めば進むほど、ただただお金が減っていきます。

昨年の取引金額分だけのゲーム用通貨を同封しており、その金額が多ければ、ギリギリゴールにたどり着けるかもしれない、という設計にしました。

そのため、昨年の取引が少ない場合はそもそもクリア不可能な無理ゲー仕様で『いかに御社との取引が重要であるか』が痛感できる代物です。

無理ゲー仕様でほとんどの会社がクリアできない

このゲーム、私の期待も込めてだいたい100万円くらいの取引があるとクリアできるバランスで作っています。

ただ後から気づいたんですが、100万円を超える取引があった会社は3社しかありませんでした。
企画しながら「普通に経営やばい」ということを、経営者として理解する機会にもなり、憂鬱な年末を迎えた次第です。

またこのゲームは、仏教で説かれている6つの迷いの世界「六道」になぞらえて、盤面を6つのエリアに分けています。凡ミスゾーン、人間関係ゾーン、炎上ゾーンなど、経営や仕事をしていると誰しも一度は経験する不幸が、これでもかというほど降りかかってくる設計です。

冒頭はあるあるネタを散りばめた凡ミスゾーン
対人関係の失敗(半分ぐらい実話)を盛り込んだ人間関係ゾーン
Xで散見される他人事ではない炎上ゾーン

そして終盤に待ち受けているのが「精神崩壊エリア」。国会議事堂の前に座り込んだり、アルミホイルの帽子を大量生産したりと、いよいよ様子がおかしくなってきます。

もっとも、最近は都市伝説や陰謀論関係の仕事も増えてきたので、あながち完全なフィクションとも言い切れない未来なのが怖いところです。

一歩間違えると「懲役」は免れられない

ゲームで使うお札は、現行紙幣をモチーフにしたパロディーデザインで、肖像には約500社の会社設立・経営に携わった「日本資本主義の父」こと渋沢栄一さんを使っています。

……と、ここまで書くと軽く聞こえるのですが、実はこのお札デザイン、一歩間違えると貨幣偽造の罪に問われる可能性があるということで、制作途中にちゃんと弁護士の増山健さんに相談しています。

増山さんは前職の株式会社人間でお世話になり、とても作り手によりそったアドバイスをくださるので、作り手の「エゴ」と「法律」とのせめぎ合いが確実に発生するこの企画において、なくてはならないパートナーです。

私の方でも事前に罪に問われないよう、以下の対処をしていました。
・肖像はしょんぼりさせる
・「壱万円」を「壱文無」に変更
・「日本銀行券」を「基本無計画」に変更
・花は『同情』を花言葉にもつアルメリアに変更

最初は「どう見ても本物と間違えないだろう」と思っていたのですが、調べれば調べるほど、『サイズが近いだけでアウト』『デザインが違ってもアウト』『見本と書いてあってもアウト』みたいな裁判例がゴロゴロ発覚。特に重要なのは「サイズ」とのことでした。

弁護士さんからは「最悪、通貨及証券模造取締法で3年以下の懲役もあり得ます」と、年末に聞くにはかなりヘビーなコメントもあり、泣く泣くお札のサイズを人生ゲームや子供銀行券に準拠したかなり小さいサイズに変更しています。

打ち合わせ中に「岡さんは初犯ですし、目的は明らかにパロディなので、不起訴になると思いますけどね。アハハ」と言われましたが、苦笑いが精一杯でした。

なお、ここまで慎重にやっても 「絶対にセーフと言い切ることはできない」 というのが法律の世界らしく、この企画は常に「たぶん無罪っぽい」というゾーンで成立しています。(2026年1月7日現在)

※このタイミングで言うのもあれですがお札と本体のデザインは昨年に引き続き森倉ヒロキさんです

反響

新年早々「無理ゲー」を送りつけられた方々からは、早速「クソゲーだ」と非難する声がSNSで見受けられました。

最後に

今回送付にはサイズ感がちょうどよかったという理由でレターパックを使いました。

ただ、レターパックにはこれでもかというぐらい「レターパックで現金送れは詐欺です」 という警告が書かれ、図らずも取引先を詐欺加害者のような感覚にさせてしまったかもしれません。

もともとは皆さんの同情を買って仕事につなげる算段だったこの年賀状。
よくよく考えると嫌味のように取引金額を可視化し、ロクにクリアもできないクソゲーをさせ、挙げ句の果てに詐欺イマーシブですから、同情以上のヒンシュクを買ったに違いありません。

今回散々いじり倒した渋沢栄一は「信用こそが資本である」という言葉を残しているそうです。

デザイン・印刷・弁護士相談料などウチにとっては小さくない『資本』を使って、わざわざ『信用』を損なうような結果になったこと、反省するほかありません。

こんなみっともない株式会社ですが、今年もよろしくお願いいたします。

ない株式会社
代表・岡シャニカマ