「ない株式会社」設立のご挨拶
この度「ない株式会社」を設立しました、代表の岡シャニカマです。
ここではご挨拶として、設立までの経緯や会社の内容、今後の展望について説明します。
「説明なんて聞かなくても、仕事をお願いしたい!」という天使のような方はこちらをどうぞ。
起業のキッカケは「みうらじゅん」
会社を作りましたが、私は今でも株式会社人間で働いています。
ありがたいことに、人間では自分の企画がいくつも実現できていて、そのどれもがこの会社じゃなければ無理だったであろうクセの強いものばかり。給与も福利厚生も申し分ありません。
しかし、私は社会人になる前から「みうらじゅんになりたい」という思いがありました。
みうらさんといえば「マイブーム」という言葉を作り、「ゆるキャラ」や「いやげもの」など多種多様なブームを提唱し続け、タモリ倶楽部によく出ていたロン毛のおじさんです。
彼は自分の仕事スタイルを「1人電通」と称し、自ら企画を立て、営業し、制作し、発表しています。
最近ふと「みうらじゅんが会社員だったら?」と思うことがありました。
上司に仕事を頼まれ、給与をもらいながら「ゆるキャラ」の企画を立ち上げていても、どこか魅力に欠けてしまう。
それはきっと「身銭を切っている」という後ろめたさがないからです。
“身銭を切って”全国のよくわからないゆるいマスコットをひたすら取材して発表する。
“身銭を切って”全国各地のゴムヘビを買い占めて発表する。
だからおもしろい。
そんなことに気がつき、身銭を切って企画をする舞台として「ない株式会社」を設立しました。
社名は否定系の「ない」
社名の「ない」は「ゼロ」や「存在しない」という意味ではありません。
「つまらない」「みっともない」「情けない」といった否定系の「ない」です。
私は昔から人の良いところに嫉妬して、悪いところを探そうとするどうしようもない習性がありました。
足が速い友達に嫉妬しては「あいつはイキってる」と思い、頭が良い友達に嫉妬しては「あいつはみんなをバカにしてる」と思い、何の欠点もない完璧な友達には「あいつ歌が下手そう(聴いたことないけど)」などと勝手な妄想で無理やり納得したり。
とにかく物事の欠点に注目する習性です。
この習性は人間に入るまで何1つ役に立たず、むしろ欠点だったのですが、プランナーになるとそれが個性として企画に現れるようになりました。
例えば「クソリプかるた」という企画の時には「意味がわからないクソリプ」に着目して「これをカルタにしたら超絶むずかしそうだな」と思ったのがキッカケでした。
「有給浄化」というイベントの時は「使いたくても使えなかった有給」に着目して「失った有給の数だけ灯籠が並んだら皮肉なライトアップイベントになる」と思いつき、1人でニヤニヤしていたのを覚えています。
どうも「欠点を見つけておもしろがる」というのが、私の企画スタイルだったようです。(なんて性格の悪い)
そんな自分のどうしようもない習性を、せめて世の中に還元しようと考えて会社のモットーを「ないから考えよう。」としました。
そんな否定系の「ない」という概念をデザイナーの松尾さんが「打ち消し線」と「ゴミ」に具現化して、会社のロゴとホームページは出来上がりました。
仏教から考えた「つまらないからおもしろい。」
この会社で大事にしたい価値観が冒頭にある「つまらないからおもしろい。」です。
(説明がややこしい割に何の為にならないので興味がない人は飛ばしてください)
もともと会社のコンセプトに関わる「ない」という概念を深堀したくて、本来ならコピーライターに相談するところを、まずは僧侶に相談しました。
というのも、仏教の般若心経には「色即是空」という有名な一節があり、これは「世の中のあらゆるもの『色』は、実態がない『空』である」という意味だそうです。
そんな「空」の概念を理解するべく、みうらじゅん愛も深い僧侶の稲田ズイキさんに「飲みながら色即是空を説法してくれませんか?」と相談したところ、2つ返事で快諾いただきました。
そこで教わったのが、そもそも「色即是空」は「何もかもないんだ」と全てを諦める消極的な『ニヒリズム』のような考えではなく、かといって「すべてがある」と規定するわけでもないということ。
要は「世の中すべてのものは影響しあい、常に変わり続けていて1つの状態にとどまらない」という考え方で、世の中を「ある/ない」の二元論で見ないようにする概念なのです。
般若心経でも「色即是空」の次は「空即是色」でしょ?色と空は入れ替わり続けているんです、とズイキさんはおっしゃっていました。(若干解釈に違いはあるかもしれません)
そんな説法をほろよい状態で聞いたあとに、それをどう会社に落とし込むか考えました。
企画で色即是空を捉えると「色=おもしろい」「空=つまらない」になります。
つまり、今は「おもしろい(色)」とされている企画もいずれは「つまらない(空)」になるし、逆に「つまらない(空)」と思われている企画もいずれ「おもしろい(色)」になり得るということ。
この考え方が、何かと斜に構えてしまう私にピッタリ当てはまりました。
例えば芸人の「なかやまきんにくん」がここ数年でブレイクし、大手企業がこぞってプロモーションに起用しています。
あくまで私の感覚ですが、一番最初に「きんにくんを使おう!」と考えた人はおもしろいけれど、それが当たったことを踏まえて「うちも使おう!」と二番煎じで考えられた企画はつまらない。
要するに、誰もが「おもしろい」と感じている企画は生まれた瞬間に「つまらない」になる一方で、次に「おもしろい」となり得るのはまだ誰もおもしろさを見出していない「つまらない」だけということです。
タグライン「つまらないからおもしろい。」には、そんな思いが込められています。
ちなみに、WORKSにも理念にも全部に「×ボタン」がついています。
これは見た人が「つまらない」と思った時に捨てられるようにするためなので、そう感じた場合は遠慮なく捨ててください。
今後の見通しがたってない
今後についてですが、実はすでに5つほど企画が進行中です。
皆さんにお披露目できるのはもう少し先になるかもしれませんが頑張ってます。
ちなみに長谷川さんという元ボストンコンサルティングの方に「経営コンサル頼んだらいくらかかりますか?」と聞いたところ「金ねえだろうから、美味しい野菜とか送ってくれよ」という謎の契約が成立し、月1ぐらいで話を聞いてもらえることになりました。
先日、その第1回があったので5つの企画を見てもらったところ「金にならない順番に企画が面白い」という、経営者目線で見ればお先真っ暗なご意見を頂戴しました。
そこで皆さんにお願いです。
自分で考える企画だけでは到底食っていけないので、お仕事をください。
まだ1歳になったばかりの娘がいるし、ゆくゆく犬も飼いたいんです。
会社やサービス、プロモーションなどで「つまらない」と思うことがあれば、ぜひご一報ください。
一緒にいじっておもしろくするお手伝いをさせていただきます。
謝辞
まだ立ち上げただけですが、すでに多くの方にサポートしていただきました。
仏教の視点から会社のコンセプトを一緒に考えてくださったズイキさん、中西さん。
起業や独立した先輩としてアドバイスしてくださった谷口さん、吉田さん、北野さん、安藤さん、納谷さん、頓花さん、白井さん。
起業手続きや経営についてアドバイスしてくださった「スタートアップカフェ大阪」の財前さん、山下さん。
コンセプトの言語整理からライティングのアドバイスまでしてくださった101さん。
コンセプト通りのWebサイトを作ってくれた松尾さん、木戸さん。
美味しい野菜だけで経営コンサルを引き受けてくださった長谷川さん。
二足のワラジを許してくださった人間の花岡さん、山根さん、そして妻。
皆さん、本当にありがとうございました。
2023年7月1日
ない株式会社 代表・岡シャニカマ