WORKS ないシゴト

私たちを監視する量産型大学生にご注意ください

担当範囲
企画 / コピーライティング / ディレクション
公開日
2025/06/06
クライアント
株式会社闇

完全なフィクションだとつまらない

ホラー作家・梨が原案・監修を務め、株式会社闇が企画したドラマプロジェクト「マルクト」のプロモーションとして、陰謀論めいた警告をするトイレ広告の企画・制作を担当しました。

「マルクト」は、地上波番組《マルクト情報テレビ》(MBS/毎日放送)と連動するショートドラマ《マルクト 〜あなた、誰ですか?〜》(BUMP)として展開。秘密国家「マルクト」を舞台に、超監視社会によってもたらされる構造や社会そのものへの恐怖を描いたSFドラマで、視聴者にじわじわと迫る違和感を体感させます。

この作品の魅力を最大化する上で、誰が見ても「ドラマの広告」とわかる整った告知では没入感を阻害してしまいます。だからこそ、本当にフィクションだよね?と見る人が少し不安になる、“現実ギリギリ”の広告表現を目指しました。

「量産型大学生はクローン」という陰謀論を唱えるトイレ広告

ドン・キホーテ梅田本店と新宿店のトイレに「量産されたクローン大学生が我々を監視している」と主張するポスターを設置しました。

同じような髪型・ファッションをする大学生のことを指す「量産型大学生」の中には、本当に“量産”されたクローンがおり、彼らは我々を監視して次のオリジナルとして連れ去ろうとしている──。ポスターにはそんな荒唐無稽な陰謀論が書かれています。

普通の広告なら視認性や企業ロゴの配置を最優先しますが、本企画では“広告らしくなさ”を重視。文字詰めのズレ、下手くそなイラスト、余白処理の粗さなど、素人がWordで急ごしらえしたかのような雑味をあえて残し、見る人に「これ、本当にヤバい陰謀論者がゲリラ的に貼っていったのでは?」と疑わせる設計にしました。

ポスターの周りには明らかに盗撮したチェキのようなもので、量産された大学生のタイプが10種類紹介されています。

ちなみに10種類の「量産型大学生」は某大学の現役大学生協力のもと、キャンパスでの現地調査を行って検討。手書きの文言も含めて大学生へのアンケート調査も行い、なるべく現実に忠実な内容にしました。

用を足した最後に視線を送るトイレットペーパーホルダーには「このドラマはフィクションですか?」というコピーと共に、特設サイトへ誘導するステッカーを設置しました。

個室トイレ以外にも小便器前などにも同様のポスターとチェキを設置。
トイレという密室を有効活用して、明らかに異常な空間を作り出しています。

現実っぽさを出すためのアナログ作業

東京・大阪でチェキは200枚以上を用意する必要があったため、下部のコメントはデザイナーの森倉さんに加え、私の妻と義母にも協力を仰いで全て手書き。連絡先の電話番号は実際に油性マジックで塗りつぶし、“誰が貼ったのかわからない不気味さ”と圧迫感をさらに増幅させています。

掲載実績

PR EDGE「ドン・キホーテに不穏な怪文書……SFドラマ『マルクト』の不可解プロモ

クレジット

Client: 株式会社闇

Producer: 高田将志(MBS・闇)
Planner: 岡シャニカマ(ない)
Designer: 森倉ヒロキ
Media Partner(Toilet Advertising): 株式会社トランプス「ハレルヤ」
Media: ドン・キホーテ梅田本店、ドン・キホーテ新宿店