WORKS ないシゴト

こんなセリフにキュンときたら#9110

担当範囲
企画 / コピーライティング / ディレクション / PR
公開日
2025/09/29
クライアント
大阪府警察

SNSで知り合った人とドラマみたいな恋なんてあるわけない

大阪府警のSNS型投資詐欺啓発ポスターとして「こんなセリフにキュンときたら#9110」を企画・制作しました。

このポスターでは「ロマンス詐欺」の犯人が被害者を誘惑する際に用いる実際の「口説き文句」をそのまま使い、ロマンチックに聞こえる言葉こそが「詐欺の手口」であることを示すデザインとなっています。

ポスターの下部には「この顔にピンときたら110番」ならぬ「こんなセリフにキュンときたら #9110」というコピーが添えられ、本来ポジティブな「キュン」という感情をロマンス詐欺の危険信号として周知します。

本ポスターは大阪府下の各交番で順次掲示され、動画化したものはなんばマルイの「Grand Namba Vision(ACNビジョン)」でも放映されました。

実際の犯行手口をもとに4種類の「キュン」とくるポスターを用意

啓発ポスターは、犯行グループが実際に用いる典型的なシナリオを4種類用意。被害者が目の当たりにする「口説き文句」と「設定」をそれぞれビジュアル化し、読者が“キュン”とした瞬間に「これは詐欺かもしれない」と立ち止まれる構成にしました。

また、漫画の表紙を模したポスターデザインをもとに、啓発するためのノベルティとしてメモ帳を作成。裏面にも裏表紙のようなデザインを施し、より世界観がイメージしやすいあらすじなども表現することで、被害者側の目線を臨場感高く味わえる設計にしました。こちらは各警察署での防犯キャンペーン等で配布予定です。

「甘い言葉」で誘うロマンス詐欺

大阪府内のロマンス詐欺被害は近年、件数・金額ともに急激に増加しています。2023年に49億円だった被害額は、2024年には127億円へと約2.6倍に拡大し、2025年は上半期時点で110億円に達しました※1。被害者層も40〜60代を中心に男女双方へ広がり、2024年の統計では男性被害者が54%と女性を上回る結果となっています。

手口も巧妙化が進み、犯人は恋愛感情で信頼を獲得した後「一緒に資産運用しよう」と偽の投資サイトへ誘導し、架空の成功体験を演出するなど“成功体験型洗脳”で追加送金を迫ります。さらに、大阪はスマートフォン・SNSの利用率が全国最高水準であることや単身世帯の多さによる孤立感に加え、犯罪グループが関西圏を重点的な標的と位置づけていることが被害拡大の要因と指摘されています。

大阪府警察は被害防止のために「SNSでお金の話が出れば詐欺を疑い、おかしいと感じたら一人で判断せず家族や警察に相談してほしい」と呼びかけています※2。本ポスターでは、府民が甘いセリフに触れた瞬間に「むしろ危険信号では?」と気づけるよう意識啓発を図ることを目的としています。

クレジット

Client: 大阪府警察
Planner / Copywriter / Director: 岡シャニカマ(ない)
Designer: 森倉ヒロキ
Video Editor: はまだみか